薪職人

駒ヶ根市にある、古い付き合いの筒井燃料店を訪ねた。

創業は昭和30年はじめ。

当時はナラ薪を通称文化薪と呼び、1日おきに国鉄の貨車で東京方面に送り出していた。

その後プロパンの普及により昭和40年代前半には需要がなくなり、今は薪ストーブ用の薪を作り続けている。

年間約1万束作り、今も手斧で同じ大きさに割りタガに詰めている。

素人ではタガ詰めは難しく熟練を要する。

驚くほど安い価格で配達している。

昔からのお客さんが喜んで使ってもらればよいと筒井さんと息子さんは穏やかに話す。

今も大鹿村の持山から原木を切り出しているが、広葉樹は放っておけば芽が出て再生したが、昨今鹿が新芽を食べてしまい木が再生されないと嘆く。

昔は今のように道が作れなく険しい山だったから索道を張り運び出したという。

使っている和斧は先祖から受け継いだもので、使いこまれていて驚くほどよく割れ、切れる。

道具としての機能美がある。

 

どんな仕事にも職人と呼ばれる人がいるが、表には出ず、目立たず、こつこつと薪を作っている。

こういう人達を本物の職人と呼びたい。

 

T.Ito